平野 俊夫
(国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構 理事長)
量子生命科学会第2回大会の開催にあたって
人類の歴史は多様性ゆえの発展と対立の歴史でした。多様性は、心豊かな生活とイノベーションの源泉であると同時に、対立や紛争、そして幾多の戦争の原因でもありました。この多様性の壁を乗り越える大きな力を有しているのが、学問と科学技術、芸術やスポーツです。私たちは、言語や宗教が異なっていても、これらの「人類共通言語」を介して心を通じ合い、異文化理解や異文化尊重を育むことができます。その先に、平和で心豊かな人類社会の発展があります。
感染症も、多様性の壁を楽々と乗り越えてしまう、ある意味で「人類共通言語」と言えるもので、人類の歴史に大きな影響を与えてきました。新型コロナウイルスは、世界は一つであること、国境はないことを教えています。世界は協調しなければ新型コロナウイルス感染症を克服することはできません。
さて、量子生命科学もまた、新しい「人類共通言語」となることを目指すものです。人類究極の問いかけである「生命とはなにか?」を明らかにすることから、目の前の感染症の克服など、今後、世界が生命科学に求めるテーマはどんどん大きく、多様化していきます。こうした求めに量子の力で応えるのが量子生命科学です。量子生命科学は、生命科学に分子レベルから量子レベルへのパラダイムシフトを起こし、量子レベルで生命の謎に果敢に挑戦し、医学や社会にイノベーションを引き起こしていきます。世界中の研究者・技術者や学生がこれを学び、世界中の人々がそこで生まれた新たな知とイノベーションを享受する時、量子生命科学が真の「人類共通言語」になったと言えるでしょう。
今大会は初めてオンラインで行われます。これは単に感染症対策のためだけでなく、参加者がより軽々と多様性の壁を乗り越えるための積極的な試みと捉えて頂きたいと思います。「人類共通言語」を目指すからには、まずこの学会の我々同士が、理工学や生命科学や医学など従来の学問分野の壁を乗り越え、旧来の習慣や所属機関の壁、さらには歳の壁も乗り越え、そして空間的な距離の壁さえも乗り越えて、新しい時代の異分野融合の在り方を示しましょう。今大会が、その第一歩です。一人でも多くの若い研究者がこの大会を機会に量子生命科学に参加していただくことを期待しています。
白川 昌宏
(京都大学大学院工学研究科 分子工学専攻 教授)
この度、量子生命科学会第2回大会を令和2年12月23日(水)~24日(木)の2日間、オンラインにて開催させていただくことになりました。当初は例年通り5月の開催を予定しておりましたが、新型コロナウィルスの流行を鑑み12月へ延期させていただきました。また、冬には新型コロナウィルス流行の第2波が危険視されており、平野理事長はじめ学会関係者の皆様、大会組織委員会と協議の結果、感染症対策のため今大会はオンラインで開催することになりました。オンラインでの学会開催は他学会含め前例が少なく、皆様にご不便をおかけすることもあると思います。しかし、オンライン開催のメリットを最大限に活かし、本学会初となる一般口頭発表を設けるなど、大会開催まで試行錯誤を進めて参ります。
本大会は「量子による生命フロンティアへの挑戦」をテーマとし、4つの基調講演・招待講演セッションを企画しました。さらに、一般口頭発表を4セッション新設いたしますので、多数のご応募お待ちしております。また、ポスター発表については、大会HPに専用ページを設け参加者限定で公開し、発表者・聴講者がメールで質疑応答を行う形式をとりたいと思います。ポスター発表の醍醐味である対面での活発な意見交換は困難になりますが、多くの参加者の目に触れ、時間を気にせずに議論を進めることができます。
今後もより良いオンライン開催の方法を模索して参ります。その中でプログラム、参加・発表方法などに変更が生じ、皆様にご迷惑をおかけすることもあると思いますので何卒ご容赦いただきますようお願い申し上げます。大会組織委員会一同、皆様のご参加を心よりお待ちしております。
会議の名称
開 催 機 関
開 催 日 時
開 催 場 所
事務局
量子生命科学会 第2回大会
一般社団法人量子生命科学会
2020年12月23日(水)、12月24日(木)
基調・招待講演 / 一般口頭発表:オンライン発表
ポスター発表:大会HPに公開
委員長
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
委 員
森本 大智 (京都大学大学院工学研究科)
五十嵐 龍治 (量子科学技術研究開発機構量子生命科学領域)
今岡 達彦 (量子科学技術研究開発機構量子生命科学領域)
岡部 弘基 (東京大学大学院薬学研究科)
鈴木 団 (大阪大学蛋白質研究所)
高草木 洋一 (量子科学技術研究開発機構量子生命科学領域)
湯川 博 (名古屋大学大学院工学研究科)
Copyright © 2020 The 2th Annual Meeting of the Quantum Life Science Society
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